太陽発電

2010年10月31日日曜日

Kings of Leon



Come Around Sundown/Kings of Leon
僕が2000年代に入って最も好きなバンドの一つであるKings of Leonキングス・オブ・レオンの新作。今さっきi tunesで購入しました(ホント便利だね…ダウンロードって音がちょっと悪いし、現物がない分CDより「買った感」がないんであんま好きじゃないけど、ふと思いついた時に買える事は非常に便利)。アルバムが出るごとにバンドは名実ともにデカくなり、アメリカの田舎くさいガレージバンドから今や世界を代表するロックバンドになった彼ら、セールス的にバカ売れした前作からどういう変化が見られるかに期待(と少しの不安)を持っていたのだが、Kings of LeonKOLはその不安を軽くぶっ飛ばすくらいのバンドになっていました。

みんなが聴きたいロック、KOLがやりたい音楽がみんなのロックってくらいにこの新作でさらに大きなバンド像を確立しています。昔からのファンとかは「KOLも売れるための音楽に靡きやがって」と思う人もいるとは思いますが、僕は、これはこれでいいと思います。たった今リアルタイムに聴きながらこれを書いているので細かい曲の印象はまだ捉えきれていませんが、いいじゃないですか、こんな音楽を聴かせてくれる現在進行家のバンドがあっても(うーん、でもやっぱまだ前作のほうがいいような…笑。うん、もうちょい聴きこもう)。僕にとってもフェイバリットは未だにセカンドなんですが、こんな僕みたいなKOL ファンも頷かせる、スケールのでかい音楽を彼らは鳴らしてくれています。だからこそ、お願いだから来日してくれ。あの時見たフジロックでの彼らの姿からどう進化していったかを、ライブでこそ体現したいと思っています。
いかにも昨今の人気ロック・バンドの待望の最新作にありがちな仰々しいムードとは縁遠く、「またちょっとよさげな曲ができたからよかったら聴いてみて」というような気安さが先行していて、聴き手もかしこまったり変に身構えたりする必要はない。

それなのに、radioactive/pyro/mary/back down south/birthdayでの強力かつ明確なフック、それらの曲で聴かれるゴスペル・コーラスにカントリー・テイストのアコースティックでフォーキーな感触、さらに鍵盤類を中心にメランコリックで繊細な装飾など新しい要素もあれば、しかしそれらがほんの些細な変化としか思われないほどに、この期に及んでもまだ奥行きと広がりを増す音空間に圧倒され、重厚さとがむしゃらな疾走感が売りだったグルーヴにはベースを中心にしたソリッドな躍動感も加わり、楽曲は緩急が効きポップさが増幅され、まさに向かうところ敵無しといった破格な内容になっていて、結局前作以上の感動と興奮が待っているところが凄い。

もっと言えば、その気負いのないごく自然な雰囲気からの(もしくはごく自然な雰囲気ゆえの)衝撃さえもファンにとってはもうそろそろkings of leonらしさとして定着しているにも関わらず、それをまた飄々と超えてみせるから、そもそも新機軸やらギミックやら、まして小賢しい注釈など必要としていないのだとも思う。


こうして感想を文字にしてみるのもいよいよまだるっこしい感じがあって、聴きはじめてからずっと、ジャケットのような夕暮れのビーチで、その息を呑むような光景に心奪われ、ビュービューと吹く風を浴びて茫然と立ち尽くしているような強烈なイメージにとらわれたままだ。

そんな筆舌に尽くしがたい地点まであっという間に到達してしまったkings of leonのサウンドは、いわゆるスタジアム・ロック的な定型や安定志向を揶揄するのに用いられるのとは全く別の意味で王道と呼ばれなければならない。この場合、ポップに壮大に広がり、強くしなやかにグルーヴがうねり、それらが一体となって更なる高みへと突き進む堂々たる様を指して王道と呼ぶのであり、それは唯一kings of leonに対してだけ用いられべき表現なのである。

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